氷の女王に口付けを

着氷と同時にクロスしていた左足を解いて、続けざまに氷面を蹴った。


しっかり回りきって着氷。着氷した氷面の氷はまったく抉られてなく、完璧なコンビネーションジャンプを物語っている。


4T-3T。


基礎点13.80の大技中の大技。


羽生さん、四回転を物にしていたんだ。


しかもセカンドに三回転を付けれるほどの完成度で。


大介と羽生さんの四回転には決定的な違いがある。


大介は典型的なパワータイプ。


助走のスピードと強靭な脚力を利用して、無理やり高さと回転速度を練り上げて跳ぶ。


ほとんどの選手はこの方式で四回転を跳ぶが、このタイプは着氷の衝撃が足首にダイレクトにくるのでクリーンにランディングするのが難しく、セカンドジャンプを付けにくい。


最大のネックは、怪我を生みやすいことだろう。


対して羽生さんは、膝の柔らかさを利用したテクニックタイプ。
< 49 / 214 >

この作品をシェア

pagetop