氷の女王に口付けを
着氷と同時にクロスしていた左足を解いて、続けざまに氷面を蹴った。
しっかり回りきって着氷。着氷した氷面の氷はまったく抉られてなく、完璧なコンビネーションジャンプを物語っている。
4T-3T。
基礎点13.80の大技中の大技。
羽生さん、四回転を物にしていたんだ。
しかもセカンドに三回転を付けれるほどの完成度で。
大介と羽生さんの四回転には決定的な違いがある。
大介は典型的なパワータイプ。
助走のスピードと強靭な脚力を利用して、無理やり高さと回転速度を練り上げて跳ぶ。
ほとんどの選手はこの方式で四回転を跳ぶが、このタイプは着氷の衝撃が足首にダイレクトにくるのでクリーンにランディングするのが難しく、セカンドジャンプを付けにくい。
最大のネックは、怪我を生みやすいことだろう。
対して羽生さんは、膝の柔らかさを利用したテクニックタイプ。