氷の女王に口付けを

なんか顔が赤くなっている気がするけど気のせいかな?


まあいいや、確実に捉えたから。


「約束は約束だよ。ちょうだいっ」


ようやく諦めたのか、分かったよと呟いたタクちゃんはバックヤードへ例の物を取りに戻る。


戻ってきたタクちゃんの手には……あれ、なにもない?


近づくと私の手をとって、手のひらに持ってきた物を落とした。


銀色に輝く小さな指輪。


割と厚めの指輪で、側面にはオシャレな模様がデザインされている。


駅前の銀座で不定期に開いているシルバーアクセサリーの小さなお店。


そこでたまたま見かけたこの指輪に一目ぼれして、学生に優しい値段ではあったけれど私のお小遣いでは到底手が出される代物ではなく、無理やりタクちゃんに約束を取り付けてプレゼントしてもらったのだ。


念願の指輪。
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