氷の女王に口付けを

俺なんて一年以上も練習してるのに、まだコンスタントに四回転を跳べないというのに。


ちょっと羽生さんに妬いちゃうな。


「試合にも入れるんですか?」


「ううん、まだ試合にレベルじゃないね~。入れるとしても、下位からの一発逆転用かな? 誰かさんみたいに怪我したくないしね~」


「あはは、そうですね……」


羽生さんは俺みたいなミスはしないようだ。


それでもあれだけ綺麗に跳んでいたから、実戦配備も間近だろう。


羽生さんも大介も、昨シーズンよりレベルアップしている。


俺も負けてられないな。


そう思っている側で、美優がジャンプを決めていた。


後ろ向きで滑りながら、左足を軸足にクロスさせ、右足アウトエッジで踏み切る。ループジャンプだ。


一回、二回、三回……。
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