氷の女王に口付けを

凄く驚いたしちょっぴり嬉しかったけど、きちんとお断りした。


正直リッスン選手のことを私はなにも知らないから、はいじゃあ付き合いましょうと返事をすることは出来なかった。


それに、なんか心の奥で引っかかったのだ。


なんていうか、こう、うまく言葉には出来ないんだけど……。


とにかく駄目だと思ったのだ。自分自身よく分からないけど。


「だけどリッスンってイケメンじゃん? ミューちゃんフリーなんだから試しに付き合っても良かったんじゃな~い?」


「確かにリッスンはイケメンだけど、なんか違ったんだよね。付き合うなんて発想は一ミクロンも湧かなかったなぁ」


「ふ~ん」


羽生は意味深くに微笑みと、グラスに入った水を一口飲んだ。


グラスを置いて、真っ直ぐ視線を送りつける。


「それって、心に想っている人がいるってことじゃないの~?」
< 56 / 214 >

この作品をシェア

pagetop