氷の女王に口付けを
GPシリーズ
GPシリーズは、世界六カ国で開催される格式高い国際大会。
出場資格もそれなりに厳しい条件があるが、三月に行われた世界選手権で九位に入った俺は、最大枠である二大会の出場が叶った。
今季から各大会の開催順が変わり、フランス・ロシア・中国・日本・アメリカ・カナダというローテーションになった。
俺が出場するのは第二戦のロシア大会と、第五戦のアメリカ大会。
連戦続きではなく、しかもロシア大会アメリカ大会共に目ぼしい有力選手が少ない。
俺の結果次第だが、十分表彰台。ファイナル出場も夢じゃないと、コーチはいきり立っていた。
そんな簡単なもんじゃないとも思ったが、そんなことを言ったらド衝かれそうだから黙った。
ロシア大会男子SPを明日に控え、会場のリンクで公式練習に励む。
公式練習には大会のジャッジも見学に来る。
この公式練習の調子を見て、ジャッジは当日の演技の判断材料にする。
ここで好調をアピールすれば、本番で点も出やすい。