氷の女王に口付けを
羽生さんに相談して、必死になって選んでくれた。
それだけでもうお腹一杯。
腹九.五分目くらいだね。
左手の薬指にはめてみる。
事前にサイズを教えていたから指にピッタリジャストフィット。
天井に設置されているライトにかざすと、銀色の指輪が一層輝いた。
自然と笑みが零れちゃう。
「これつけたら四回転ジャンプも跳べそうな気がするよ」
「いや、お願いだから四回転だけは跳ばないで。世界中の男子スケーターの面目丸つぶれだから」
「でも私、練習でなら四回転サルコウ跳べたよ?」
「跳ぶなよ。絶対に試合では跳ぶな!」
多分跳ばないかもねと含みを持たせて告げ、なにごともなかったのかのように練習を再開した。