氷の女王に口付けを
ステップでレベルを取るには、複雑なステップを踏みだけではなく、身体を大きく使ったりスピードもなくてはならない。
あれだけ上半身を動かしていたらスピードも落ちるのだが、持前のスケーティング技術でスピードを殺さずに氷上を舞う。
タクのステップは氷に優しい。
無駄に氷を削らないので、速さが落ちることはないのだ。
氷面には大きな円のトレース跡が残る。
ステップが終われば、得意のステップからの単独3Lz。
スピードを殺さずにステップを踏み、後ろ向きから右足のトウを突く。
安定した空中姿勢と高さと幅。スピードのコントロールも完璧。
着氷と同時に両手を頭上にかかげる。GOEで加点をもらうための振り付けだ。
残すは三つのスピンとストレートラインステップ。
曲調が戻り、悲壮感が漂い始める。
夜明けがもうじきやってくる。