氷の女王に口付けを

うっ。痛いところを突くなあ。


SP一位で迎えたFP。


転倒こそなかったものの、ジャンプのほとんどがDG(回転不足)を指摘され、三回転ジャンプが二回転扱いにされてしまった。


それで結局六位。ファイナル出場は絶望的。


原因はわかってる。原因は、


「ミューさんのことなんだろ」


俺の心読み取ったのか、大介が口にした。


「なんでわかった?」


「昨日たまたまミューさんとすれ違った。なんか悲しい顔してて、ミューさんのあんな顔初めて見た。そんで、きっとあんた絡みだって感づいた」


「よく気づいたな」


「たりまえだ。だって俺、ミューさんのことがす……」


カァッと大介の顔が真っ赤になる。
< 85 / 214 >

この作品をシェア

pagetop