氷の女王に口付けを
うっ。痛いところを突くなあ。
SP一位で迎えたFP。
転倒こそなかったものの、ジャンプのほとんどがDG(回転不足)を指摘され、三回転ジャンプが二回転扱いにされてしまった。
それで結局六位。ファイナル出場は絶望的。
原因はわかってる。原因は、
「ミューさんのことなんだろ」
俺の心読み取ったのか、大介が口にした。
「なんでわかった?」
「昨日たまたまミューさんとすれ違った。なんか悲しい顔してて、ミューさんのあんな顔初めて見た。そんで、きっとあんた絡みだって感づいた」
「よく気づいたな」
「たりまえだ。だって俺、ミューさんのことがす……」
カァッと大介の顔が真っ赤になる。