氷の女王に口付けを

「それまで待ってられるか! それに」


「それに?」


(タクさんの生演技を、一日でも早く見たいし……)


「ん? ごめん、声が小さくて聞こえなかった」


「なっ!? う、うっさい! もう知らない! タクさんのばーか!」


そう吐き捨てて、大介はどこかに走り出してしまった。


えーと、俺なんか酷いこと言った?


ただ声が小さくて聞こえなかったとしか言ってないんだけど?


―――最近の若い子はよくわからん。


そういえば、女子SPはどうなったんだろう。


ふと気になってテレビに目をやると、丁度美優の演技が始まろうとしていた。


嫌なタイミングだな。
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