危険ナ香リ





「割れてるんですか!?えーっ!見たい見たいっ」

「じゃあ今度写メでも送るわよ」




 なんだか聞くに堪え難い話になりそうなので、考え事に集中することにする。


 考える事といえば……今日あった美咲ちゃんのことが真っ先に思い浮かぶ。


 美咲ちゃんは、帰り際のあのとき、なにを言おうとしたんだろう。


 ……祐絡みのこと?


 だとしたらいったいなんのこと?


 あたしと祐はただの幼なじみで……ああ、言うとやっぱり悲しいや。


 とにかくただの幼なじみなわけで、とくにこれといって特別な関係ってわけじゃない。


 祐の何かが知りたくて話かけたんであれば、あたしなんかより、お兄さんの飛鳥くんに聞けばいいと思う。


 だって、飛鳥くんと祐は友達だし、しょっちゅう会話してるもん。


 ……うーん。何が言いたかったんだろう。美咲ちゃん。




「おい清瀬。忘れるとこだった。はいこれ」




 急に佐久間先生の声が聞こえて、一気に現実に戻る。


 すると、ピンク色の紙袋が飛んできた。




「うわ、っととと!」




 慌てながら、なんとか落とさずにすんだことにホッと息をはいた。


 っもう!佐久間先生ってば、大事なプレゼントを投げるなんて……!


 こんな人を恋人にしたいと思う人の気がしれない。




「なにそれ。誕生日プレゼント?」

「へぇ。これってあのショップの……。誰から貰ったの?まさか敦?」

「なんでそこで俺の名前を出すんだ、美波」




 ごちゃごちゃ話をする中、柚乃ちゃんが“誰から?”と聞いてくる。


 美波先輩にも聞かれたし……答えなきゃだめだよね。


 いや、別に答えたくないわけじゃないんだけど!……なんか恥ずかしい。




「えと。た、祐から?」




 恥ずかしさのあまり、疑問形になってしまった。


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