危険ナ香リ





「……え?」

「あ゛?」

「祐っていうと、お前の幼なじみの、あれか」




 柚乃ちゃんは目を丸くして、美波先輩は眉を寄せて、佐久間先生は納得したように顎に手をおいた。


 みんなそれぞれの反応に、誰に対してツッコミを入れていいのかわからなくなる。




「た、祐から?それ本当に?」

「え?う、うん。そうだって飛鳥くんが言ってたけど」

「飛鳥が?」




 ゆ、柚乃ちゃんてばどうしてそんなに聞いてくるのかな?


 戸惑って黙ると、美波先輩がブツブツと“祐殺す。死ね”と言っているのが聞こえて怖くなって声を出した。




「どうしたの柚乃ちゃん。あたし、変なこと言った?」

「……いや、あのね」




 複雑そうに眉を寄せた柚乃ちゃんは、あたしを見ずに口を開く。






「祐からプレゼント預かってるのは、あたし、なのよ」






 え? としか言えなかった。


 だって飛鳥くんは祐からだって言ってて。

 でも、柚乃ちゃんは嘘ついてるようには見えないし。


 その証拠に、




「美波先輩は祐のこと嫌いだから、後で渡そうと思ってたの。今から持ってくるから待ってて」




 柚乃ちゃんはそう言った。


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