危険ナ香リ

 え、なんで、どうゆうこと。


 若干パニックになりながら柚乃ちゃんが消えてったドアをひたすら見続ける。


 柚乃ちゃんはすぐに走ってやってきた。


 片手には、黒い紙製のミニバッグがあって……。


 思わずピンク色の紙袋と見比べてしまった。




「はい。これが、祐から預かったプレゼント」

「ちょっと柚乃。なんで祐は直接恭子ちゃんに渡さないのよ」

「その話はまた後でです」




 目の前におかれた、黒いミニバッグ。


 チラリと中身を確認してみると、箱が入っていた。


 なんだろうと、好奇心に負けて手を伸ばし箱を開けてみる。




「わあ……っ」




 可愛い、蝶のネックレス。


 可愛くて可愛くて見つめてしまう。


 で、でも、本当にこれをくれたのが祐だとしたら、こっちのは一体……?




「……やっぱり、飛鳥から、なのかな」




 ポソッと呟いた柚乃ちゃんの声が、妙に耳に残る。


 きっとそれは、いつも明るい柚乃ちゃんからは考えられないくらい、暗い声だったから。


 ……どうしちゃったんだろう。柚乃ちゃん。




「柚乃ちゃ」

「敦ー。そういえばあたし敦のアイス食べちゃったんだった」

「……それを今言うか?空気読」

「買ってきてよ。アイス。あとポテチもよろしく。あ。あと、恭子ちゃんにもなにか買ってあげてよ。だから一緒に行ってらっしゃい」

「み、美波先輩?」




 いきなりそんなこと言われても、まだプレゼントの謎は解決されてないし。


 それに佐久間先生と2人っきりはちょっと……!




「……分かった」




 ええ!?


 すんなりオッケーを出した佐久間先生に、嫌だ、と視線で語ってみるが伝わらない。


 だって佐久間先生はあたしじゃなくて美波先輩を見てたから。

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