危険ナ香リ





「まったくあのバカは!今度屋上から突き落としてやる!……ってか、恭子、平気?」




 態度も表情も声色も、全部コロッと変えて、心配そうに見つめてくる柚乃ちゃん。


 慌てて笑顔を作って頷いた。




「平気だよ。それより柚乃ちゃん。かばってくれてありがとう」

「んにゃ。礼にはおよばん」




 ニッ、と白い歯を見せて笑う柚乃ちゃん。


 あたしは、柚乃ちゃんが大好きだ。


 頼れるお姉さんみたいで、本当に大好き。




 ……そう思ってる時でさえ、あたしの頭は不思議と祐のことばかりを考えていた。




 “手を出した”って言ってた。

 それは一体どうゆう意味なんだろう。

 手を繋いだってゆうレベルじゃないことは確かだよね。

 部活に入っていない飛鳥くんが部活帰りだったあの2人を見たってことは、飛鳥くんは家にいたのかな。






 ……考えるのを止めたかった。






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