危険ナ香リ
え?、と声を出して振り向くと、佐久間先生の手にはピンク色の紙袋がもたれていた。
ああそういえば、忘れるところだった。
「すいません……」
贈り主が判明していない、プレゼント。
それを受け取って、感触を確かめる。
そしたら、少しだけ落ち着いた。
「送ってくれてありがとうございました。じゃあ、また」
そう告げると、佐久間先生は微笑んだ。
―――― 手首に掛けていた黒いミニバッグの存在に、ほとんど気づいていなかった。
それに気づいたのは、部屋の中に入ってからだった。
おかしいな。
祐からのプレゼントなのに。
ピンク色の紙袋と黒いミニバッグを揃えて机の上においた。
お風呂にあがって、先に目についたのはピンク色の紙袋のほうだった。
でもあたしは、2度目3度目にもなると、それを当たり前だと理解するようになっていた。
その“当たり前”を寝る時には“おかしい”とは思わなくなった。
布団に入って、目をつぶる前に目に入ったピンク色の紙袋を見て、“贈り主は誰なんだろう”と再び疑問を感じた。
そして、今までよりも強く“贈り主を知りたい”と思った。
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