危険ナ香リ




 だから次の日、あたしはいつもより早く学校に来ていた。




 別に早く来たから分かるってわけじゃないけれど、あたしの体はいつもより早く学校に行きたがった。


 電車組よりも、少し早い時間帯。


 この時間帯に学校に来ている人はまばらで、なんだか寂しく感じられた。


 うちのクラスにいたのは、片手で数えられるぐらいの人数だった。




「あ、あれ?」




 その中に、思わず“なんでいるの”と聞きたくなるような人物がいた。


 あたしの声に反応して振り向いたその人は、少しビックリしたような顔をしていた。




「今日、いつもより早いな」

「……飛鳥くんこそ」




 いつも、あたしと同じぐらいの時間帯に学校にきているのに。


 珍しいなあ。……なんて、あたしが言えたことでもないか。


 にしても。


 ……ちょうどよかった。






「ねぇ飛鳥くん。ちょっと、聞きたいことがあるの」






 カバンの中には、まだ中身を見ていない、ピンク色の紙袋が入っていた。


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