危険ナ香リ
やがて飛鳥くんが止まった場所は、学校の敷地内からでた場所にある、公園だった。
そこまでして話さなきゃいけないことでも、ないような気がするけれど……。
「どうせ、昨日のことだろ」
「え?」
「聞きたいこと。……昨日、俺が渡した、あれのことだろ」
やっぱり分かってたみたい。
手の中にある、少し熱の冷めたミルクティーをぎゅっと握り、意を決して口を開いた。
「あれ、祐からじゃなくて……飛鳥くんから、だったの?」
“贈り主”。
考えられるのは、たった1人しかいなかった。
……飛鳥くんしか、考えられなかった。
振り返った飛鳥くんはあたしの目をまっすぐ見つめる。
こんなにまっすぐ見られたことなんか、あまりないあたしはちょっとだけ恥ずかしくなって、目を逸らした。
「俺が清瀬さんにプレゼント贈っちゃ、だめだった?」
やけにハッキリとした声だった。
それとは反対に、見えた飛鳥くんの表情は、曇っていた。
「嫌ならハッキリそう言えばいいだろ」
「い、嫌なんかじゃ」
「そうやって気ばっかり使って、疲れないのかよ」
「飛鳥く……」
「そうゆうとこ、正直腹立つ」
一瞬、息が止まった。
“腹立つ”とゆう言葉に、ドキッとして体が固まった。
……嫌われてしまったんじゃないかと、思ったから……。
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