危険ナ香リ
「ふはぁ!やぁっと授業終わったー!」
歓喜の声を出して、伸びをする柚乃ちゃんの背中を見て少し笑いがこみ上げた。
柚乃ちゃんのずっと机に突っ伏して動かなかった背中が、ようやく動いたからかも。
「じゃああたし、掃除当番だから行くね?」
「うん。じゃあまた明日ね」
柚乃ちゃんは部活に入ってないから、いつも帰りが早いんだ。
バイバイ、と手を振り合ってからあたしは教室を出た。
「あ、清瀬さん!」
不意に呼び止められて振り向くと、同じ掃除の班の人があたしを追ってきていた。
佐藤(さとう)さんだ……。
「どう、したんですか?」
「あのさ、今日の掃除、あたし行かなくていい?」
「……え、っと」
お願い、と手をあわせて見せる佐藤さん。
……佐藤さん、いつも掃除に来てない気がするんだけど……。
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