危険ナ香リ


 理解したのは、佐久間先生の言いたいことと、あたしのだめなところ。


 そう言われて、ようやくあたしの“守り癖”に気づいた。


 情けないことこの上ない。




「もっと自分を出してもいい。お前がムッツリなことはみんな知ってる」

「……。って、ムッツリ!?」

「ぶはっ。反応遅っ」




 でっ、でたな!得意の意地悪攻撃!


 大きく口を開けて笑う佐久間先生を必死で睨みつけてやった。




「……下品養護教諭」

「下品いうな。変態いいなさい」

「それ自分で言うのってどうなんですか?」

「だって下品ってなんか下品」

「……意外に頭悪いんですね」

「お前よりはいいぞ」

「そんなはずは」

「あるんだよ」




 流れるような会話に、佐久間先生は始終笑ったままだった。




「そういや、弁当食わないの?」

「……あ」




 忘れてた。


 そう気づいた瞬間、小さくお腹が鳴る。


 慌ててお腹を押さえたけれど、佐久間先生はニヤニヤ笑っていた。




「……っ。さ、佐久間先生のバカっ」




 恥ずかしくて顔を赤くしながらそう言った。


 そして、ソファーに座ってお弁当を広げるあたしを見て、佐久間先生は楽しそうに笑うのであった。


 ……反対に、あたしは始終口を尖らせていた。


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