危険ナ香リ




「え、なに。まさかこのイケメンが恭子の彼氏?」

「か、彼氏じゃないよっ」

「……すまん清瀬。隣の美人は誰だ」

「お、お姉ちゃんです。あたしのお姉ちゃんの、清瀬菜々子(ななこ)です」




 佐久間先生が言うように、確かにお姉ちゃんは美人だった。


 でも、家族だからかな。あたしには、美波先輩ほど美人ってわけでもないように見える。


 佐久間先生はジッとお姉ちゃんを見つめていた。


 そしてきっと、お姉ちゃんも佐久間先生を見つめてる。




「あんた、何歳?」

「26」

「……ちょっと恭子!あんた、なにあたしより年上の男と付き合ってんのよ!」




 だ、だから付き合ってないんだってば!!


 と言おうとする前にお姉ちゃんが口を出す。




「ロリコン!?イケメンのくせにロリコン!?」

「……なんでまたロリコン扱いされてんだろ。俺」




 な、なんでもいいけど、早く逃げなきゃご近所さんに聞かれちゃう。


 お姉ちゃんってば、興奮すると無駄に声が大きくなるんだから。


 もぞもぞと動いて、なんとか“ロリコン”と連呼するお姉ちゃんの腕から逃げ出す。


 そのまま、佐久間先生に向かって走った。




「せ、先生!早く行きましょうっ」




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