危険ナ香リ


 そう言ったあたしに、佐久間先生が戸惑ったように眉を寄せた。






「“先生”って……恭子、あんた!!」






 お姉ちゃんの怒鳴り声に、ビクッと肩を震わせた。


 ……そっか。そうだった。


 お姉ちゃんは、あたしと佐久間先生が“そうゆう”関係だと思ってるんだった。


 “先生”と“生徒”が“そうゆう”関係だって思ってる。


 ……勘違いだよ!


 そう言いたかったけど、勘違いさせるような行動をとるあたしが悪い。


 ……いや。そうゆう行動をとるように誘い込んだ佐久間先生が悪い。


 いやでも、“先生”って言っちゃったあたしが悪い気が……。




「だめよ!あたしは許さないわ!」




 って、どっちが悪いか考えるより、先にお姉ちゃんの勘違いを解かないと!


 ええとええと、なに言おうなんて言おう。


 焦って、頭の中がぐるぐる回っている。




 そんな中、大きな手が肩を掴んだ。




「すいません。今日1日だけ、清瀬を貸してくれませんか」




 ……佐久間先生。


 ……やばいですって!お姉ちゃんの怒り、さらに買いますって!




「生憎、ロリコン教師に貸すような妹は持ち合わせてないわ!」

「ロリコンじゃありません。俺は清瀬に、ただこの間世話になったお礼をしようと」

「じゃあガッポリ貢がせてきな!恭子!家買ってもらえ!家!」

「……貸していただけますか」

「悪いことはしないで、たんまり金払うってんならいいわよ!」

「分かりました。なら、お借りします」




 ……いいの!?


 これでいいの、お姉ちゃん!?


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