危険ナ香リ
「気のせいだよ。それより、さっきの話の続きしようよ」
あからさまに話を変えたあたしを、飛鳥くんはどう思ってるだろう。
飛鳥くんはこっちを見ないから、気持ちは一欠片もわからなかった。
「……清瀬の家ってどこにあんの?」
「え?ああ、えっと、あっち」
「アバウトだな。とりあえず行くか」
「うん」
そう言って歩き出したはいいものの、飛鳥くんはなかなか話だそうとはしなかった。
隣を歩く飛鳥くんをチラリと盗み見ては、また前を向くとゆう行為を何度も繰り返した。
なんだか、寂しいのに加えてさらに寂しさが乗っかった気がして、堪えきれずに声を出した。
「あ、飛鳥くん」
「……ん?」
「話、しないの?」
「ああ、うん。……とりあえず、気をつけろよ」
ん?それだけ?
ジィッと飛鳥くんの顔を見つめたけれど、飛鳥くんはあたしの視線に気づかずに思考にふけっているみたい。
……変なの。
そう思ってから前を向いた。
「清瀬は、」
「え?」
前を向いた途端に話しかけられて、また勢いよく飛鳥くんに顔を向ける。
「柚乃から、なにか聞いてる?」
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