危険ナ香リ


 そして、1人でヒートアップしていく。




「みんな、あたしの目の前であたしの知らない話をして、なにがしたいのか、全然分かんない」

「……清瀬」

「……ムカつく」

「え?」




 苛立ちばかりが募っていく。




「みんな、ムカつく」




 ……あの、図書室での出来事の二の舞になりそうな気が、なんとなくした。


 でもあの時より幾分か落ち着いてる。


 まだマシな方だと思う。




「……悪い」

「謝られても、どうしていいか分かんないよ」

「悪い」

「……じゃあ、なんの話か教えてよ」




 全部全部。


 あたしが分からないこと、全部。


 納得がいくまで教えてほしい。


 ……このまま、蚊帳の外にいるままだなんて、嫌だよ。




「……あのな」




 飛鳥くんが、そう、何かを喋り出そうとした瞬間。




―― ヴヴヴ




 どこからか、そんな音が聞こえて、お互いに口を閉ざした。


 あたしは、チラリと飛鳥くんの制服のポケットを見る。


 きっと、鳴っているのは、飛鳥くんの携帯電話。


 まだ鳴り続けているってことは、きっと電話だろう。


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