危険ナ香リ
「っと、悪かったな清瀬。苦しくなかったか?」
パッと手を離された瞬間、距離を取ろうと後ろに下がる。
すぐ後ろにドアがあったことを忘れていた。
―― ドンッ
「あてっ」
あ、あたしってばバカだ……。
「清瀬って、意外にバカ……いや、ドジなんだな」
「す、すいません」
「なんで謝るんだよ」
クスクスと笑われてしまい、恥ずかしくなって、痛めた頭を押さえながら俯いた。
「まあいいか。それより、さっきの話に戻るぞ。清瀬」
「……あ!そ、そうですよ!なんであたしが先生の家に、」
「無駄に声がデカい」
「んぐっ」
またまた口を手でふさがれてしまい、ピシッと固まる。
さっきからふさがれたりふさいだり……なんかあたし達、コントやってるみたい……。
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