危険ナ香リ
明日?
でも言える勇気がでるか分からない。
でも、あたしは祐にひどいことをしたわけだから……早く謝らないといけない。
「ってなわけで、あたしから言えるのはそのぐらいね。……ああ、あともう一個」
思考を止めて、美波先輩を見る。
美波先輩はあたしを見て、優しく微笑んでいた。
「あたし、恭子ちゃんのこと大好きよ。ちゃんと、恭子ちゃんのことを見てるからね」
その言葉が本当か嘘か、考えることはなかった。
……聞いた瞬間に、嬉しくて泣きそうになった。
「それじゃ、慰めるのは敦の役目みたいだから、あたしはそろそろ部屋戻って勉強するわ」
「え?」
「あたし、一応受験生なのよ?勉強させてよ。あ、そうだ敦。あとでアイスの金よこしなさいよ」
じゃあね、と手をあげてリビングから出て行った美波先輩。
……なんでこのタイミングで出て行ったのか、よく分からなかった。
とりあえず、チラリと隣に座る佐久間先生を見る。
今まで気づかなかったけど、佐久間先生はジッとあたしを見つめてきていた。
穴が開くんじゃないかって心配になるほど見つめられて、恥ずかしくなって顔を赤く染めた。
「……まだ、好き?」
「え?」
「幼なじみの奴のこと。まだ好きなのか?」
ジッと見つめてくるその瞳に堪えきれずに、下を向いた。
……好き、じゃ、ない。
きっと、たぶん、もう好きじゃない。
こんなにあっさりとそう言えてしまうと、あたしは本当に祐が好きだったのかと疑問に思ってしまう。
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