危険ナ香リ
第4章
私の想イ、君知らズ
ざわざわとざわめく教室の中、あたしは1人、ぼんやりと中庭を見つめていた。
ひたすら無心で、周りから見たら“あいつ魂が抜けてるぞ”と言われそうなぐらいに無心で、中庭を見つめていた。
「きょーこー」
「……」
「きょーこー?」
「……」
「清瀬の恭子さーん」
“清瀬”
「……っ、だあ!!」
「うわお!?ど、どどど、どしたの、いきなり」
ヤバいヤバいヤバい恥ずかしい!!
一晩経ったらめちゃくちゃ恥ずかしくなってきた!
それは時間が経つにつれて増しているように思えて……とりあえず、悶えるしかなかった。
「恭子?」
柚乃ちゃんがいることを忘れるほどの悶えようだった。
机に額をくっつけて頭を抱えて、唸り続けた。
端から見たら“あいつ頭おかしくなったんじゃないの”と言われてもおかしくなかった。
……思い出す度に、恥ずかしくてたまらなくなる。
なのに些細なことですぐ思い出すものだから、たまったものじゃない。
……どんな顔して会えばいいのか分からない。
きっと、今佐久間先生の前に出されたら、あたしは恥ずかしさで溶けて消えるか、もしくは飛び降りて死ぬかのどちらかの行動をとるだろう。
間違いなく。確実に。
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