危険ナ香リ
「ってか、どうせあいつがあんな暗いのは清瀬が原因だろ。話させ」
「飛鳥と恭子を2人にさせてたまるかっ」
「……いや、ならお前も話に入ればいいだろ」
「……入っていいの?」
「いんじゃね?」
チラリと中庭に向かって視線を投げ出す。
朝の中庭に、人影はみあたらない。
別に人を見るために見てるわけじゃないから、気にはしないけど。
「ってなわけで、清瀬。お前昨日なにがあっ」
「……」
気づけば、あたしはまた魂が抜けたような顔して中庭を見つめていた。
「清瀬?」
「……」
「さっきからずっとこうなんだよねぇ」
「マジでなにがあった、こいつら」
そういえばあたしキス、なんてしたことなかったな。
……じゃああれがファーストキスってやつなのかな。
……あれが……。
「……っ、わああっ!」
「うお!?な、なんだ、いきなり。どうしたんだよ清瀬」
ヤバいあたし!
な、なんか今めちゃくちゃリアルな感触が蘇って……!
やだもうやだっ!
思い出すの、恥ずかしい!
「なにがあったんだろうねぇ……」
ポツリとそう呟いた柚乃ちゃんに、あたしは気づくはずもなく、ひたすら赤い顔を両手で覆って恥ずかしがっていた。
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