危険ナ香リ

「嘘付け。あからさまになんか言われてただろうが」

「大丈夫だもん」

「んなわけねぇだろ」

「本当だもん」




　飛鳥くんと話すことに抵抗を感じた。


　だって、あたしと美咲ちゃんを重ねてた人だし。

　柚乃ちゃんの想い人だし。


　とにかく、話すことに抵抗を感じる。




「……頼れよ」

「……」




　それは“あたし”に向かって言ってる言葉なのか、疑いを持った。


　チラリと飛鳥くんを見ると、真剣な顔が目に入る。




「その言葉、美咲ちゃんに言ってあげて」




―――― これ以上、傷つくのが怖くて、そんな言葉で壁をつくった。




　飛鳥くんは言葉に詰まってしまったようだ。


　そして、その後先生がきたことも関係して、あたし達の会話は終わった。


　飛鳥くんの背中を見て、心の中で“ごめんね”と呟いた。


　せっかく“頼れ”って言ってくれたのに。


　……ごめんね。


　もう飛鳥くんの言葉を疑わずにはいられないのかもしれない。


　……信じられないのかもしれない。


　ごめん。

　本当にごめんね。


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