危険ナ香リ




「まあ、良かったね。両想いじゃん」




 悪態をつきながら頬杖をつく柚乃ちゃんの態度が気にくわなくて、ムッと唇を尖らせた。


 まださっきの怒りを引きずっているせいなのか。


 あたし達の間に火花が散る。




「両想いなんかじゃないよ」

「だって、恭子は祐が好きで、祐は恭子が好きなんでしょ?それじゃ、どっからどう見ても」

「祐は、美咲ちゃんが好きだって、あたしの目の前で言ったよ」

「嘘だ」

「飛鳥くんからも聞いたの。……祐は、本当に美咲ちゃんが好きなの」




 まだ、信じないと言いたげな顔をしている柚乃ちゃんに言い聞かせるように言った。


 でも、柚乃ちゃんの顔はまだ全然信じてない。


 ……これ以上は無理だって分かったあたしは、話を変えることにした。






「柚乃ちゃんは誰が好きなの?」






 柚乃ちゃんにとって、痛いところを突いたのは、わざとだった。




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