危険ナ香リ


 だから、自分の身ぐらい自分で守ろう。


 だってあたしを守れるのはあたししかいないんだから。




「なんで、って……」

「理由、聞いてから行くかどうか決めます」




 それを聞いた佐久間先生は、少し黙って、それから何を思ったのか、立ち上がってデスクに向かった。


 その姿を見ていると、少しずつ周りの様子が見えてくる。


 その中でも目を引いたのは、机の上に置いてある、消臭スプレーだった。



 ……そういえば、佐久間先生から幾分かタバコのニオイが消えてたなぁ。



 もしかして、これを使ったから?




「清瀬」

「あ……はい」




 すっかり消臭スプレーに意識が向かっていたあたしは、慌てて佐久間先生に視線を向けた。


 佐久間先生は、手に携帯電話を持っていた。




「3年の、美波(みなみ)を知ってるか?」




 ……美波?


 記憶を遡り、“3年”“美波”とゆう単語をヒントにその人を絞り込んでいく。


 すると、意外にも早くにその人の名前が出てきた。

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