危険ナ香リ
あたしも初めてなんだよ。
あんなに怒鳴り合ったのも、“親友”なんて単語を出してくれたのも。
柚乃ちゃんが初めてなんだよ。
そう言いたかったけど、涙がいっぱい出てきて言葉を遮る。
もどかしいと思ったけれど、柚乃ちゃんの手があたしの手を握ってくれたから、そのもどかしさも消えた気がした。
それからは、2人で泣き合って、言葉を交わせるまで落ち着いた後、お互いにお互いの気持ちを言い合った。
柚乃ちゃんの口から、“飛鳥が好き”だってハッキリと聞けて、嬉しかった。
誤解が解けた、と言えばいいのか、仲直りした、といえばいいのか分からないけれど……。
とりあえず、和解することができて、嬉しかった。
「え、じゃあ祐のこと、もう好きじゃないの?」
「う、うん」
落ち着いた頃に、祐と美咲ちゃんがキチンと好きあっていることを話して、あたしが祐を好きではなくなったことを話すと、簡単に信じてくれた。
「それに祐も美咲ちゃんとねぇ……。いつの間にそんなに好きになってたんだろ」
「……そういえば、柚乃ちゃんが祐から相談受けたのって、いつ?」
「相談ってゆうと?」
「え。えと、その……。こ、恋の相談……」
なんか、その内容があたしについてって分かってしまったから、恥ずかしくて声を小さくして喋った。
もごもご口を動かすあたしを見てから、柚乃ちゃんが考えるそぶりを見せた。
「恭子の誕生日の前で……。2人で学校サボったんだよね、確か」
ピンときた。
あの、祐と柚乃ちゃんが2人して休んだあの日だ。
意外に今から近い時に相談にのってたんだなぁ。
.