危険ナ香リ
「んで、あたしも飛鳥のこと相談してたの。だから祐はあたしの好きな人を知ってるんだよね。うん」
「美波先輩は、誕生日のあの日?」
「そう。……でもまさか佐久間先生にまでバレてるとは思わなかったなあ」
あれ?佐久間先生は美波先輩と同じ時に柚乃ちゃんから聞いたのかと思ってたけど……。
違ったのかな。
まばたきを繰り返すあたしを見て、柚乃ちゃんは小さく微笑んできた。
「まあ、佐藤のバカに言わせりゃ、あたしは相当分かりやすいらしいからね。バレても仕方ないのかも」
わ、分かりやすい?
どこが。
だってあたし、全然分かんなかったのに。
ってゆうか、佐藤さんは柚乃ちゃんの好きな人のこと分かってたんだ……。
「佐藤さんと、どんな話したの?」
「んーと……。最初に“柚乃ちゃんって飛鳥くんが好きなんでしょ?”から始まって、そこから“ひどいよね清瀬さん。飛鳥くんに好かれてるのに祐くんともいい感じなんでしょ”って」
「え!?飛鳥くんがあたしを好きだって嘘も知ってたの?」
「……だって飛鳥、分かりやすいもん」
むぅっと唇を尖らせた柚乃ちゃん。
いやいや。全然分かりやすくなんかないってば。
だってあたし分かんなかったし。
「とりあえず、そこから恭子への嫉妬心を煽られちゃって、さっきみたいにヒドい考えを持っちゃって、佐久間先生とのことを話しちゃったのよ」
なるほど。
なんて納得するあたしの前で、柚乃ちゃんがため息をはいてから冷めた紅茶を口にした。
「……どうしようかなあ。佐藤の奴、きっと恭子と佐久間先生のこと、言いふらしてるかも……」
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