危険ナ香リ


 いや、説明すれば理解してくれるはず。


 だってあたしと佐久間先生には関係なんてないわけだし。


 ……本当にないって言い切れないけど。


 だって、家知ってたり、家の中入ったり、デートしたり、抱きしめられたり、キスしたり。


 ん?キス?




「……っ!!」




 しまった!

 思い出した!




「ん?どしたん、恭子。顔赤いよ」

「や、あの、なんにもないよ」

「……あやしい」

「あ、ああ。いい夕日だなぁ」

「……キャラが崩壊してるとこがますますあやしい」




 どうしようどうしよう。


 確かにあたし達は恋人でもなければ友達でもないけど、……き、キスって……。


 バレたら完璧に疑われる!


 間違いなく恋人だって思われる!




「恭子」

「むぎゃっ」




 焦るあたしの顔を両手で押さえ、真っ直ぐ目を合わせさせる柚乃ちゃん。


 ジッと見つめてくるその目は、とても真剣な色をしていた。




「大丈夫。もう誰にもなにもチクったりなんかしない。……信用できないなら、あたしが飛鳥のこと好きだって、全校放送でバラしてもいいよ」

「え?あの」




 ぜ、全校放送って。


 あたしに全校放送を流す権利なんかないし、柚乃ちゃんの好きな人を全校にバラすだなんてできないよ。




「だから、恭子の悩んでること、全部教えて?頼りないかもだけど、一緒に解決していきたい」




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