危険ナ香リ
そう思うと同時に今までのあたし達はどんな関係だったんだろうかと不思議に思えた。
家のことには触れずに、ただテレビの話や恋の話をしてばかりで……。
友達だったけど、そこまで深くは関わり合うことのない、浅い関係。
……親友になれば、もっと深い関係になれるのかな。
そんなことを考えながら、柚乃ちゃんの見送りで玄関まで向かった。
「ありがと。あと、今日はいろいろごめんね」
「ううん。こっちこそっ」
家の中に入る前と今を比べると、今の方がとても気持ちが楽になっていた。
それに、あたしは今うまく笑えているとハッキリわかる。
……今日、柚乃ちゃんと話ができて本当によかった。
「じゃあ、またね」
「―― あ、」
バイバイと手を振ろうとした柚乃ちゃんの手が、あたしが声を出したことで止まった。
どうしたの、と言いたげな顔をされて、あたしはちょっとだけ戸惑いながら声をだす。
「ま、また、遊びにきてくれる……?」
親友になると深い関係になれるんだろうけれど。
でも、そうなるにしたって“続ける”ことができないと意味がないでしょう?
……美波先輩や佐久間先生に言われたように、あたしからもっと攻めるようにしなきゃ、“続ける”ことなんかできないような気がした。
ドキドキしながら柚乃ちゃんを見ると、白い歯が見えた。
「うんっ」
とても、嬉しかった。
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