危険ナ香リ
笑顔でバイバイと手を振る柚乃ちゃんに、あたしも笑顔で手を振った。
攻めてみてよかった、と思った。
くるりと回れ右したあたしは、浮かれながら部屋へと戻る。
そして、着替えをすませてからカップを洗いにキッチンへ向かった。
「ただいまー」
「あ、お姉ちゃんお帰りなさいっ」
「……随分楽しそうね」
大学から戻ってきたお姉ちゃんは、持ち物を全てソファーの上に投げ出してあたしをジッと見つめていた。
その間に食器を洗い終えたあたしはお姉ちゃんに笑顔で近づく。
「あのね、今日、」
「あのロリコン教師とイイコトでもあったの?」
「……へ?」
ロリコン教師、ってゆうのは佐久間先生のことだってすぐに分かった。
だけど、なんで今ここで佐久間先生の名前が出てくるのか分からないあたしは、首を傾げる。
お姉ちゃんはそんなあたしを見てため息にも似た息をはきだした。
そして、少し首もとが開いている服を着ているせいで、剥き出しになっている首筋を指さした。
「それ」
「へ?……ああ、この虫さされ?いつできたんだろうねぇ」
「バカ。それキスマークよ」
……はい?
キスマーク?って、キスのマーク?
……え、これって、虫さされじゃないの?
ってか、キスマークだとしたら、一体いつつけられたんだろう。
「……あ」
思い出した!
きっとあれだ!
昨日、佐久間先生に舐められた時にくっついたんだ!
「って、これキスマーク!?」
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