危険ナ香リ


 嘘、どうして。

 ってゆうか、お姉ちゃんに見られた。

 え、でもそんなっ、キスマークだなんて。


 ううっ。なんでもいいけど、恥ずかしいよぅ……!


 顔を真っ赤に染め上げたあたしは、たまらなくなってソファーの陰に隠れた。


 お姉ちゃんから見えない位置に隠れたあたしの耳に、バキッという音が入ってくる。




「おのれ、あのロリコン教師……!!付き合ってるとはいえ、もう手ぇ出したか、あんにゃろうめ」




 ……えと、付き合ってません。


 そんなツッコミもできないほど、恥ずかしさで満ち溢れるあたしは膝に額をくっつけた。


 ……ますます佐久間先生と顔合わせづらくなった気がする……。




「恭子。まさか避妊してないなんてことは」

「わあああ!」




 避妊なんて生々しい言葉使わないでよー!


 首筋まで真っ赤に染め上げながら、耳をふさいだあたしだった。


 もうもうもう!


 佐久間先生の大バカ!!


 佐久間先生なんて、接待好きになんかならないんだからー!!


 半泣き状態になりながら、そう誓ったあたしだった。




「ただいまー」

「お母さんっ。恭子が大人になった」

「お、お姉ちゃん!?」

「えー!?それ本当!?なら急いでお赤飯買ってこなくっちゃ」

「お、お母さん、違うっ。違うのっ」




 ……その日、うちは大騒ぎになった。




 せっかく柚乃ちゃんと和解した後なのに、なんでこんなことになるんだろうと思いながら、お赤飯を食べるあたしだった。


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