危険ナ香リ

ダッテ大好きダカラ





「ぶぁっはっはっはっ!」




 大声で笑いながら、机をバンバン叩く柚乃ちゃんに周りから注目が集まった。


 どんどん集まる視線に堪えきれず、柚乃ちゃんに“静かにして”とジェスチャーで伝える。




「いやぁ、ごめんごめん。だって脱処女でお赤飯って……生理がきたんじゃあるまいし」

「だ、脱……!?あ、あたし、そんなこと」

「でも、キスマークだなんて、やるねぇ」




 こっそりと、あたしにだけ聞こえるような小さな声でそう言って、ニヤリと笑う柚乃ちゃん。


 あまりの恥ずかしさに、あたしはうつむいてしまった。


 ……佐久間先生のせいだ。


 恨んでやる。恨んでやるんだから。




「付き合う日はそう遠くないかもよ?」

「つ、付き合わないよ!絶対!」




 パッと顔を上げて全力で否定した。


 だって、あたしは佐久間先生のことなんか、嫌い……うん。嫌いだもん。


 ……いや、でも、嫌いではないかもなぁ。


 かと言って、好きでもない!






「―――― 付き合うって、誰と誰が?」






 まさか会話に入ってくる人がいるなんて予測もできていなかったあたし達は、2人揃って肩を跳ね上がらせた。


 しかもあたしは、別の意味でも跳ね上がっていた。




「あ、飛鳥くん……」




 昨日見た飛鳥くんの背中を思い出した。


 それから声の方向に顔を向けると、あたし達を見ている飛鳥くんの姿が見えた。


 ……ちょっとだけ、気まずい雰囲気をかもし出したあたしだった。


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