危険ナ香リ




「―――― ねぇ」




 話に区切りがついたと思ったのか。


 佐藤さんが、そう声を投げかけた。




「バカじゃないの、あんた達」




 冷めた目をして、祐を見てから柚乃ちゃんを見る佐藤さん。


 あたしはそれを見て、ハラハラした。


 ……だって、佐藤さん……。




「ああん!?なんだと、このヤマンバギャル!!」

「あんたにバカなんて言われたかない!てゆうか、その化粧なんとかしなさいよ!」




 わざわざ2人の怒りを買うようなマネをしてしまったから……!


 黙っていればよかったのに。


 祐と柚乃ちゃんの挟み撃ちだなんて、相当キツいのに。




「誰がヤマンバだって!?あたしは色白でしょうが!てか、こんな化粧なんか普通じゃん!」

「逆ギレか、ヤマンバ」

「ヤマンバじゃないし!!」




 ……収拾がつかない気がするのは、あたしだけだろうか。


 なんとなく視界の端にいた飛鳥くんに視線を向けると、頭を押さえている様子が見えた。


 飛鳥くんも、同じこと考えてるのかな。




「ってゆうか、あんたらなんなのよ!?」




 知らんぷりしていたクラスメート達が、堪えきれずに佐藤さんを見る。




「“恭子”“恭子”って……!そんなにあんな地味女が好きなわけ!?」




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