危険ナ香リ




―――― その日、あたしは飛鳥くんと仲直りをした。




 昨日は柚乃ちゃんとも仲直りをした。




 このまま、祐とも仲直りできるんじゃないかと期待していた。


 ううん。


 確信に近い感情を持ち合わせていた。


 絶対、仲直りできると信じてた。






―――― その日、あたしは担任の先生に雑用を任された。






 昼休みの間に冬休みの宿題を全員分運んで、渡してくれと頼まれた。


 あたしはそうゆう雑用の係だったし、断る理由はなくて、お昼ご飯を食べる前にやってしまおうと席をたった。


 そして、職員室。


 ドアをノックしようとした時にその声は聞こえた。




「清瀬先輩?」




 ……その声はあたしが羨んでいる美咲ちゃんの声だった。


 ビクッと小さく肩を跳ね上がらせて声のした方向を向く。


 するとそこにはやっぱり美咲ちゃんがいた。


 ……そしてもう1人。




「さ、佐久間先生……っ」




 白衣を身に纏うその人の姿の方が、美咲ちゃんより先に目に入った。




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