危険ナ香リ




「まあいいか。じゃあ、これよろしくな」

「あ。は、はい」




 差し出されたプリントの束達を慌てて掴んだ。


 落ちないようにそれを抱えていると、先生があたしをまじまじと見つめていることに気づいた。


 なんですか、と言おうとするより先に先生が口を開く。




「清瀬って、学校で叫ぶ一面もあったんだな」

「え。い、いや、あの、あれは……」

「ちょっとビックリしたよ。まあ、そうゆう元気なとこがあるのは大変よろしい」




 ……な、なんか恥ずかしいなぁ。


 顔が自然と赤くなっていくことに気づいて、あたしは慌てて“失礼します”と言って頭を下げた。


 笑顔で見送ってくれる先生に背中を向けて、早足で職員室から出る。




「あ、清瀬!」




 ドアを閉めようとした時、佐久間先生の声が後ろから投げかけられてきて、思わず足を止めた。


 ゆっくり振り向くと、にっこり笑っている佐久間先生が見えた。


 ……なぜだろう。


 なんだか、悪い予感がする。




「ちょっと頼みたいことがあるんだ。保健室で待っててくれないか?」




 ……拒否とか、できないんですよね。


 佐久間先生の笑顔からそれを悟ってしまったあたしは、ちょっと固まってしまった。


 視界の端に見えた美咲ちゃんが、こっちを見て小首を傾げていた。




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