危険ナ香リ


 ……はい!?


 ビックリしたあたしは急いで顔を上げた。


 するとそこには口元を笑みで歪めている佐久間先生がいた。




「な、なんで鍵」

「邪魔されたら嫌だろ?」

「じゃ……邪魔って……っ」




 どうゆうことなんだろう。


 なんて考えていると、妖しい笑みを浮かべている佐久間先生が近づいてきた。


 ……なんだか嫌な予感がする。


 嫌な予感、ってゆうか……身の危険?


 じりじりと後ろに下がって佐久間先生と距離を取ろうとした。


 だけど佐久間先生は足が長くて、一歩が大きいから……。




「コラ。逃げるな」




 ソファーの縁ギリギリで止まったあたしの肩が、佐久間先生に捕まえられた。


 片膝をソファーの上においた佐久間先生は、相変わらず笑っている。




「わ、わ、わっ」




 なんか今まで以上に身の危険を感じたあたしは、もうなにを言っていいのか分かんなくて、そんな変な声を出した。


 それが悲鳴なのか、威嚇なのかはあたしにも分からない。


 ……とりあえず、あたしの顔は赤に染まっていたりする。




「清瀬、お前、なんで顔赤いんだ?」

「う……っ」




 つっこないで欲しかったのにっ。


 ニヤニヤ笑う佐久間先生の顔を見ていたあたしは、その言葉でうつむいた。


 だけどそれを許さなかったのは、佐久間先生の指だった。


 くいっ、と顎を持ち上げられて、また上を向いたと思ったら、すぐ近くに佐久間先生の顔が現れた。


 ぎゃー!!


 なんて叫びながらパニックになりそうな心中をよそに、あたしは固まっていた。


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