危険ナ香リ




「……なんかあんたムカつく」

「奇遇だな。俺もお前がムカつくよ」

「生徒にそんなことよく言えるな」

「教師は聖人君子じゃないんだ。好き嫌いぐらいあるに決まってるだろ。バカ」

「てめっ、またバカにしやがったな!バカって言う方がバ……」

「……」

「……無限ループになる気がする」

「奇遇だな。俺もそんな気がする」




 なんだかんだで気があってるような気がする。


 プリントを拾い終わったあたしは、近くにあった机の上でプリント達を整える。


 その時に、トントンと音を出すと、2人の会話が止んだ気がした。




「……なんでここに清瀬がいるって分かった?」




 あたしも聞きたかったその質問をした佐久間先生の声が聞こえた。


 祐はため息を吐き出したようだ。




「……職員室のドア前って、教室から丸見えだって知ってた?」




―――― 嘘!じゃあ見られてたの!?


 驚いたあたしは、反射的に祐の方を向いた。


 あまりの驚きせっかく集めたプリントが全部床に散らばった。


 その音が聞こえた2人がこっちを見てきた。




「……まあ、昼飯時に職員室前見る奴なんてそうそういないけどな」




 そう付け足した祐に、あたしは気を使われたんだと気づいてうつむいた。


 ……もしかしたら、他の人にも見られてるかもしれない。


 そう考えると“恥ずかしい”とゆう思いと“どうしよう”とゆう焦りに似た思いが沸き上がる。


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