危険ナ香リ



 正確に言えば、あたしはそのまま眠りに落ちた。


 なぜ分かるかと言うと、目を覚ました場所がベッドの上で、寝起き特有の気だるさが体にのしかかってきていたから。


 ……目が重い。


 思わずゴシゴシと目をこすると、その手を誰かの手によって止められた。






「擦るな」






 その声を聞いて、ビクリと体を揺らせて、一気に目を見開いた。


 そして、あたしがその人の姿を確認したと同時に、その人の笑顔も確認した。


 な、なんで……。


 驚いて少し後ずさりすると、なにかにぶつかった。




「うーん……」




 ベッドに寝ていたあたしの後ろにいて、同じベッドで同じように寝ていたのは、祐だった。


 ……え!?


 な、なんで祐があたしの隣にいるの!?


 と、驚いていると、あたしの手を掴んでいたその人が、笑顔のままあたしに顔を近づけた。






「ロリコン教師がいるのに祐と寝るなんて……まさか、浮気?」






 お、おねえちゃん……っ。




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