危険ナ香リ


 話し終えた時、美波先輩と同じような反応を示していた。


 だけど最後には“応援するよ”と優しく言ってくれた。




「無理に会いに行く必要、ねぇだろ」




 飛鳥くんがそう言ったことがきっかけで、思考の世界から戻ってきた。


 飛鳥くんを見ると、少し、険しい顔をしていた。




 ……飛鳥くんは、あたしの様子を見て気づいたらしかった。




 そりゃあ、チラチラ保健室の方を見てれば、何かあったってゆうことは明らかだけど。


 それでも、そんな姿だけでわかるってすごいことだと思う。


 ……終業式の日に、呼び出されて聞き出された時は本当に驚いたなぁ。




「でも、会わなきゃ何も始まらなくない?」

「だからって無理に会おうとしてどうすんだよ。会いたくなった時に会えばいいだろ」

「まあ……」




 ……なんか重たい空気になっちゃった。


 チラチラと交互に2人を見つめ、あたしはなんだか申し訳ない気分になる。


 だから、あたしは無理矢理笑顔を見せた。




「そんな心配しなくても大丈夫だから。ね?そのうち会いに行くよ」




 その“そのうち”がいつになるかは、分からないけれど……。


 ……本当は、ふられたあの日の次の日には会いに行こうと思っていたんだ。


 だけど行けなかったり。




 柚乃ちゃんの言葉を聞いて、もう本当に無理なんじゃないかと、そう思ったから。




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