危険ナ香リ







―――― 黒色の長い髪。






 そうか美波先輩って、美咲ちゃんと同じ髪型なんだ。


 黒髪ロングなんてたくさんいるけれど、美咲ちゃんの髪は艶があって柔らかそうな細い髪。


 ……美波先輩の髪は美咲ちゃんの髪質に、よく似ている。


 だから、美咲ちゃんを思い出しちゃったのかもしれない。






 カタン、と小さな音をたてて置かれたお茶をジッと見つめた。


 それから、あたしの目の前に座る佐久間先生に視線を送る。




「あの……。結局あたしは一体なんでここに連れて来られたんでしたっけ?」




 結局、深い内容までは踏み込めずに、佐久間先生に同情してここまで来ちゃったんだ。


 だから、自分が今なんでこうして連れて来られたのか、その理由が知りたい。




「なによ。敦ってば恭子ちゃんに何も言ってないの?」

「……言えば清瀬は絶対来なかったぞ」

「なによそれ。まあいいわ。あのね、恭子ちゃん」




 ど、どんな理由なんだろ。


 佐久間先生の言葉で、ちょっぴり聞きたくなくなってきたあたしだったが、やっぱり聞きたいので小さく身構えながら、なぜかあたしの隣に座る美波先輩に顔を向けた。

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