危険ナ香リ
“謝っておいてくれないか”だなんて。
謝りたいなら、自分で謝ればいいのに、柚乃ちゃんを使って謝るなんて。
……もう、あたしに会う気なんかないみたい。
それに、そんなことを言っていたのなら……あたしはふられたんだと、確信せざるを得ないじゃない。
「……痛々しい」
ポソリと柚乃ちゃんが呟いた言葉を聞いて、飛鳥くんが頷いた。
今の言葉は、間違いなくあたしに向けられていた、よね?
……あたし、そんなに痛々しいですかね……。
「見てられない!……と言いたいところだけど、むやみに足突っ込んでも、めんどくさい方向にいくだけっぽいからなぁ。手の施しようがないよ」
「え?」
「でも見守ってるだけってのも歯痒いよね」
「え?」
い、いや、あの、あたしは別に、柚乃ちゃん達に助けてほしいわけじゃないよ。
でも、助けてくれるなら、お言葉に甘えちゃうかもしれない……。
……でも、きっと、これは誰かに助けを必要としてはいけないと思うんだ。
これは、あたしが自分でなんとかしなければいけない問題なんだ。
「ごめんね。役に立たなくて」
「そ、そんなことないよ!」
ってゆうか、役に立つとか立たないとか、そんなのあたしは気にしない。
ただ、側にいてくれるだけで……そしてできるなら、あたしを好きでいてくれれば、それだけで幸せだから。
そう伝えようとした時。
「えー!?それ本当!?」
大きな声が聞こえた。
顔を向けると、そこには久しぶりに会う、佐藤さんがいた。
.