危険ナ香リ



 大声を出した佐藤さんのグループの1人にチラチラと他の人の視線が集まる。


 それに気づいたその人は、ハッと口を押さえ、恥ずかしそうな素振りを見せる。




「相変わらずうぜぇな」




 そう吐き出した飛鳥くんの言葉にギョッとしたのは、あたしだけだったらしく、柚乃ちゃんはその言葉に大きく頷いていた。


 あ、飛鳥くんってば、クラスメートになんてことを言うんだ。


 ……ま、まあ、いつもちょっとうるさい気もするけど……。


 でも、逆に言えば元気でいいことだとあたしは思う。




 そんなことを思いながら、また佐藤さん達のほうを見る。


 すると、ちょうど佐藤さんもこちらを見ていたらしく、目が合った。


 ……ううん。


 “こちら”というよりも“あたしを”見ているような気がする。


 まだ、嫌われてるのかなあ。


 そう思い、悲しい気持ちになるとほぼ同時に佐藤さんが目を逸らした。




―――― そういえば、あたしは何故佐藤さんに嫌われているんだろう。




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