危険ナ香リ


 何回か、今のようなことを考えたことがある。


 だけど何回考えても、あたしが佐藤さんに嫌われるのはどうしてなのか、分からない。


 それはただ単にあたしがバカだからなのかもしれない。


 だけど、きっと、あたしが嫌われる理由を、柚乃ちゃんも、飛鳥くんも祐も知らないだろう。


 態度を見ればなんとなく分かった。




 ……態度を見れば、なんとなくだけど、分かるようになった。


 だけどそれは本当に“なんとなく”で、それが正しいかどうかは保証できない。


 それに、分かるのは、あたしの周りにいる、親しい人のことだけ。


 ……佐藤さんのことは、分からない。




 でも、何故分かるようになったのだろう。


 ……もしかしたら、柚乃ちゃんや飛鳥くんと仲直りすることができたてから、2人のことを、よく見るようになったからかもしれない。


 祐のことも、美波先輩のことも。


 ……真っ直ぐに、見るようになったからかもしれない。




「ねぇ恭子。これから暇?」




 柚乃ちゃんがそう聞いてきたのは、始業式が終わってすぐのことだった。


 今日は始業式だけで、これから授業があるわけじゃないし……それに、学校に残る意味もないし。


 家に帰っても、何もすることがない。


 ようするに、あたしは暇だった。




「うん。暇だよ」

「じゃあさ、一緒に遊びに行かない?」

「うんっ」




 柚乃ちゃんと遊びに行くのは、これが2回目になる。


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