危険ナ香リ


 お正月に一緒に初詣に向かって、それから2人であたしの家で話をしたりした。


 ドラマの話とか、柚乃ちゃんの家族の話とか、いっぱい話をした。


 話をしている時は、純粋に“楽しい”という思いしかわいてこなかった。


 その時の思いを、また味わいたいし……それに、“親友”と遊ぶのは、とても喜ばしいことだから。


 あたしは笑顔で大きく頷いたんだ。




「俺も遊ぶっ」




 笑顔でそう言って話に入ってきたのは、祐だった。




「男子禁制ですから」

「ヤダ。俺も暇なんだ。俺も遊ぶ」

「ワガママ」

「恭子と遊ぶ」

「あたしとは遊びたくないのか!?」




 こうして2人に囲まれると、とても嬉しく思う。


 2人はとても大切な人だから……側にいてくれることを、素直に嬉しく思う。


 “そのうち離れる”とか、“好かれ続けることなんかない”とか、そんなことを思うよりも先に、あたしは笑う。




「俺も行く」

「飛鳥も恭子と遊ぶのか?……手ぇ出すなよ」

「出さねぇよ、ボケ」

「あたしとは遊びたくないのか!?」




 周りに、こんなに楽しくて優しくて温かい人がいることを、嬉しく思う。


 ……そう思う瞬間だけは、佐久間先生のことを忘れられていた。


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