危険ナ香リ
「あたし、恭子ちゃんに一目惚れしちゃったの」
…………………。
ズザッと後ろに引いたが、すぐ後ろは壁だった。
その壁にピッタリ背中をくっつけたまま、わなわなと口を震わせる。
まっ、まさかこの人……!レ、レ……!!
「ああ。同性愛者なわけじゃないわよ」
でっ、ですよね!!
にこっと笑った美波先輩を見て、ホッと息をはいて肩の力を抜いた。
「まあ、恭子ちゃんとなら真面目に付き合ってもいいけど。あたし上手よー?」
………っ!!!
ガツンッと壁に頭をぶつけて、痛みに苦しむと、美波先輩と佐久間先生の噴き出す気配を感じた。
い、痛い。笑われた。恥ずかしい。てゆうか“上手”ってなんのこと?
色んな思いがごちゃ混ぜになって、それでも1つも口に出さずに、ただ顔を真っ赤にしてうつむいた。
「あのね恭子ちゃん。あたし、文化祭の時から恭子ちゃんのこと見てたのよ?」
まだどこかに笑いを含んだような声が落ちてくる。
……な、なにこれ。
もしかしてあたし、告白とかされちゃってますか……?
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