危険ナ香リ


 そう思っても、やめられない。


 こんな自分にそろそろ嫌気がさしてくる。




 空は灰色で、その色に同調するかのようにあたしの気分も灰色に染まる。


 そして太陽が顔を出した日曜日。


 あたしの気持ちは白に染まることなく、灰色のまま。


 むしろ、黒みを帯びた灰色をしていた。




「……勉強ってゆうか、睡眠学習?」




 机に突っ伏して肩を上下に揺らす柚乃ちゃんの姿を見て、気づいた美波先輩が苦笑いをしていた。


 あたしもそれにあわせて苦笑いをみせた。




「恭子ちゃん、飽きたなら近くにあるカフェにでも行ってていいわよ?」

「いえ。大丈夫です」

「そう?でも、無理して付き合ってくれる必要はないんだからね」

「はい」




 本当は、宿題をやり終えてしまって、暇になっちゃったんだけど……。


 でも、あたし1人で出かけるなんて、寂しくて嫌だから、残ることにした。


 本でも読もうかと思い、椅子からお尻を持ち上げた。




 ……そういえば、佐久間先生はよく本を読むって言ってたっけ。




 なんて思って、ハッとした。


 また佐久間先生のことを考えてる。


 もう考えるの止め!


 頭を小さく横に振って、気を取り直して本棚に目を向けた。


 面白そうな本を探すために、常に本棚に目を向けながら歩く。


 すると、




「っと」

「ぎゃっ」




 どんっ、と誰かにぶつかった。


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